不登校でも通信制学校やフリースクールに通うことで、学習を取り戻したり復学したりすることは可能です。
しかし大学への進学となると、不登校だった「空白期間」や、不登校になった自分自身へのコンプレックスから、気後れしてしまう方も多いかもしれません。
普通に学校に通って勉強を頑張っていた人でさえ苦労するのが大学進学、不登校だった自分にできるはずが……。
そんなふうに考えてしまうのも無理はないでしょう。
では、本当に元・不登校の人間に大学進学はありえないのか?
と聞かれますと、答えはNOです。
総合選抜型入試(AO入試)という選択肢
文部科学省の大学入学者選抜関連基礎資料集によりますと、2020年度(令和3年度)の私立大学における総合選抜型入試(AO入試)での入学割合は全体の56.5%にものぼるとされています。
はじめに総合型選抜入試とはどんなものかを説明しておきますと、一般入試とは異なりペーパーテストよりも志望理由・動機・意気込みを重視される入試形式となっております。
ちなみに「総合選抜型入試」という呼び方は2021年から改称されたもので、従来の呼び方は「AO入試」といいます。
おそらく、このAO入試という呼び方のほうが馴染みがあるという方は多いでしょう。
さて、総合選抜型入試では先述の通り、単純な学力よりも大学入学にかける熱意が問われ、面接や小論文によって合否が決まります。
そのため元不登校で学習が遅れている生徒であっても、総合選抜型入試という選択によって大学入学のハードルは下がっているのです。
もちろんただ漠然と大学に行きたいから……という理由だけで合格できるほど甘い話ではありませんが、一般入試での入学が難しい生徒にもチャンスがあるという意味で、特に不登校だった生徒には是非選択肢の一つとして知っておいていただきたいところですね。
大学に通う人は多種多様
元不登校で学力に自信がなくても、総合選抜型入試(AO入試)なら一般入試よりも合格できる可能性は高くなり、これは大きなチャンスといえます。
しかし、中には
「学力が足りないのに大学に行っても苦労するだけでは…?」
「一般入試を受けて落ちる生徒もいるのに、ズルして入学している気がして…」
といった風に不安や後ろ暗さを感じてしまう方もいるでしょう。
でも大学側も別に勉強ができる子どもだけを求めているわけではありません。
これは社会も同じです。
かつて学歴社会と呼ばれた時代には、とにかく勉強ができる者が社会的に優れたものであり、職業選択で優遇されるべきだという考えが定着していました。
そんな風潮も現代社会では大きく変化しはじめ、AO入試というシステムが生まれ、今では不登校の子どもでも大学入学のチャンスが得られる時代となったのです。
大学に通う人は多種多様。皆が皆、勉学に優れた人とは限りません。
学校の成績表は悪くとも、その人にしか持ち得ない「何か」を大学側は重視し、受け入れるようになっています。
総合選抜型入試に特化した専門塾も
あえて厳しいことを言っておきますと、総合選抜型入試は「楽して入学できる特別待遇」というわけではありません。
中には総合選抜型入試でも面接・小論文のほかに筆記試験を設けている大学もありますし、面接・小論文においても当然ながら他の受験生との競争のもと合否が決まります。
入学できる枠に限りがある以上、いわゆる「受験戦争」を避けて通れるわけではないのです。
しかし、それでも一般入試に比べれば単純な学力だけで勝負せずに済むのは確かであり、不登校だった子どもでも正しい対策と準備さえとっておけば志望大学への入学も十分可能……というわけです。
そこでおすすめなのが、総合選抜型入試対策を実施している専門塾に通うこと。
一般の塾とは異なり、単に勉強を教えてくれるだけでなく、総合選抜型入試に合格するための面接の練習や小論文の指導なども実施しているのが特徴です。
フリースクールでも、総合選抜型入試の専門塾と提携して斡旋してくれるところがありますので、将来的に大学受験も視野に入れているのであれば、選択肢として知っておいてくださいね。
おわりに
不登校の子どもについて、何より心配なのが学力の低下と進路でしょう。
高校には通えるようになっても、さすがに大卒は無理……と考えている方も少なくないかと思います。
しかし、全国のあらゆる大学において、年々総合選抜型入試での入学者が増えており、元不登校の子どもにとっても追い風となっているのです。
子どもに大学へ行きたいという意欲があるのであれば、総合選抜型入試によってその夢が叶うかもしれませんよ。